GH1

GRADO GH1のレビューです。

こちらのヘッドホンは限定生産品で世界で1000本、日本だと22本しか無いヘッドホンになります。

何故そんな少数なのかと言うと、GRADO本社の近く地元のシンボルとなっていたメープルが伐採される事になり、それを惜しんだGRADO氏が廃材を利用して作り上げたのがGH1だからです。

22本しか無い物を持っているのはそれだけで所有欲が満たされますね。

音の方もかなり良好、手持ちのGRADOのヘッドホンでは最も好みかつ、バランスの整った音と思います。

装着感=やや悪い

装着感はやや悪い程度ですね。

軽いので極端に悪くは無いものの良くはありません。

まずデフォルトのLpadはやっぱり気に食わないのでGpadに変更。

こちらはサードパーティのGpadに似た互換品。

純正品のGpadはもっと硬くスカスカした感触ですが、互換品は硬めのスポンジのような感触で純正品と比べると柔らかく若干マシな装着感です。

価格も純正品Gpadは約10000円とボッタクリ価格ですが互換品は1000円程度と安価で試しやすいですね。

以前レビューしたSR325is同様、こちらもイヤーパッドの内側にトレーニングチューブを入れて耳とドライバーが触れないようにカサを増しています。

それに加えていつものようにラムレザーのハギレで渡しをつけています。

GH1含め、GRADOの木製ヘッドホンはSR325isのような金属ヘッドホンよりも重量が軽く(GH1が190g)ある程度マシな装着感ですが、正直軽いだけで良好な装着感とは言い難いですね。

ヘッドバンドは据わりが悪く安定しにくい、触り心地の悪いイヤーパッドを押し付けられる。

自分なりに快適に聴けるよう改善はしていますが2,3時間で耳に不快感が出てきますね・・。

音は良いですが、作業中につける良いヘッドホンを探しているならGRADOは選択肢から外して良いです。

音について

音質は良好です。

システムはPC→WF250(DAC)→DCHP-100(HPA)→GH1で聴きます。

※システム詳細は画像クリックお願いします。

GRADOらしい爽快、爽やかな傾向ですが、音の粗っぽさが無くなり非常に繊細な、クリーンな音になったのが印象的。

ドライバー自体もGH1専用の物が開発されたようですが、ハウジングのメープル材の特性が音によく出ていると思います。

メープルインシュレーターを比較試聴していた際、音の芯は硬く表面はソフトと印象を抱きましたがGH1の音にも似たような質感、感触を覚えました。

基本性能も良好、僕自身一定以上の水準があれば性能に無頓着な事もありますが、分離や解像度もかなり良く、ADX5000等の高解像度ヘッドホンから付け替えても不満なくスッとGH1の音に入れますね。

帯域バランスは少し高音よりのフラット、かなりワイドレンジでローもちゃんと出ていますが迫力や押し出しは控えめ。

高域がGH1で最も魅力的な帯域ですね。

鮮度感の高い鮮やかな鳴り方で響きがクリーン、硬質ながら繊細で抜けも良好。

粒の整った実にキレイな音をスッキリと鳴らしながらメープルハウジングの効果か伸びも良く、いつまでも聴いていたくなるような艷やかな音色。

アタックも明瞭なわりに音に嫌なキツさ固さが無く爽やかに抜けていきます。

中域も明るく滑らかな聴き心地。

GRADOらしく音は近いものの独特の定位感があり立体的で窮屈には感じません。

僕はテクノ等のインスト曲をメインで聴いているので普段は歌モノの曲はそこまで聴きませんが、GH1含めGRADOのヘッドホンはボーカルに聴き応えがあり敢えて歌モノを聴きたくなる魅力がありますね。

歌手が目の前というか間近で歌い上げてくれるような、グッと迫る独特な臨場感がありGRADOのヘッドホンで最も好きな部分です。

低域は特別な主張は無いものの張りと締りが良く質としては中々に良好。

レンジもかなり下の方まで伸びていて量もSR325isより増し過不足無い量感。

低音の重み、ズシンッと深い沈み込みは余り無いものの、とても引き締まっていてキレが良く軽快な鳴り方。

前回レビューしたA2000Xも高音よりフラットで似た感じの帯域バランスですがGH1のが中低音が強くフラットめ、A2000Xのが重低音が強く中低音がやや凹んでいます。

鳴り方もGH1のが伸びと勢いの良い鳴り方で前のめりなサウンド、A2000Xは比べて少し落ち着きのある正確な音、と余り似ていません。

 

 

総評は爽やかな音色、繊細な響きのヘッドホン。

僕がGH1に感じた印象で一番大きいのが音色のクリーンさですね。

シンバルやハイハットなどの残響をとても綺羅びやかにストレートに耳に届けてくれるわりに耳に刺激感や負担を感じません。

GRADO独特の勢いの良さ、臨場感も持ち合わせたまま粗が減り非常に聴きやすい音になっているのがとても印象的でした。

また帯域バランスも向上し、得意ジャンル以外でもかなり不満なく聴けるようになってくれたのが嬉しいです。

入手性と装着感に難がありますが音は素晴らしく、GRADOの音が好き、明るい音が好きな人にはぜひ聴いてみてほしいヘッドホンですね。

 

 

 

こんな曲が合うかな。

女性ボーカルの透明感と、ドラムの疾走感、金物の響き良さが魅力的、低音も適度に出ててなんでも楽しめる。

GRADOっぽさを残しつつバランスの良いヘッドホン。