Edition10

今回はULTRASONE Edition10のレビューです。

コイツは本当にじゃじゃ馬、それもサラブレッドの暴れ馬w

間違っても人には薦められ無いヘッドホンです。

2010年に発売して世界2010台限定、新品価格30万を超える高級ヘッドホン。

ULTRASONE社の魅力、癖を詰め込んだようなド派手な音のため、非常に人を選ぶ代物と化しています。

先に最近導入したものを少しご報告。

前回の更新から半年くらい空いてたのでちょいちょいオーディオアクセサリーが増えましたね。

まずクリーン電源を導入しました。

オカルト臭いし違いが判るのかな?懐疑的でしたがCSE TX-2000をお手頃な価格見つけたので購入してみた所、すごく音が良くなってビックリしましたね。

オーディオ機器は100V側、PCを117V側に繋いだところ粒立ちの良い濃い音になってとても嬉しいですね。

それに味を占めてShunyata Research HYDRAの安い中古があったので購入。

正直TX-2000を定価の20万で買ってたらコスパわりぃと思いますが、HYDRAなら定価の6万でもコスパ良いな!って思うくらい音が滑らかになりとても立体的に分離するようになりましたね、クリーン電源舐めてた。

(扇風機の奥にあるのがHYDRA、面倒なのでそのまま撮りましたw)

TX-2000にはよく見ると最近Twitterで話題のレゾナンスチップがついてますw

こちらアコースティックリヴァイブのQR-8ですがPCに貼り付けるとS/Nが上がって音が静かになる印象ですね。

PCって元々オーディオ用の機器じゃないからか、これ系のアクセサリー効果を比較的体感しやすいです。

※画像クリックで拡大

装着感=良好(渡しを付けて最高レベル)

装着感は非常に良いです。

Edition10のレザー巻きヘッドバンドは優秀ですね。

だいたい2009年以前のULTRASONEのヘッドホンはヘッドバンドにクッションがチョコンと付いた作りの物でした。

Edition9もそうですがこれは一見快適そうに見えて非常に装着感が悪く、負荷が一点集中するためすぐに頭頂部が痛くなる物。

Edition10が登場した2010年頃からヘッドバンドが現在も主流のクッションをレザーで覆ったものへ一新。

これは以前のクッション式と比べると負荷が一点に集中しづらく、ある程度分散してくれるため装着感が飛躍的に向上しました。

実際に作業中に装着していて4,5時間で頭頂部に違和感を覚える程度。

ただ僕の場合作業中はより快適に装着していたいので他のヘッドホン同様、レザーの端切れでAKGヘッドホンのように渡しを付けています。

元々、側圧も適度で重量は270g程度、メッシュレザーのおかげで通気性も良いため上記の改善で10時間程度でも問題なく装着していられますね。

茶色のエチオピアンシープスキンはそのままだと皮脂で黒ずむため、レザーケア用のホースオイルを馴染ませてお手入れ。

革の保湿も出来て、見た目も写真のようにダークブラウンで統一されるため経年劣化が分かりづらくオススメです。

音について

「渋い見た目のヘッドホンだなぁ」と思って手に取ったのが初めての出会い。

ドライで刺激的なシンバルやハイハットの音に「な、何だこのヘッドホンは……⁉」と思ったのが第一印象ですw

店頭でアンプを繋ぎ変えた際も思いましたが、気難しい性質で凄まじく上流に敏感。

同じくシステムの音を出すADX5000が良い上流は良く、悪い上流でもそれなりに鳴るヘッドホンとすれば、"Edition10は上流が合わないとまともな音が鳴らないヘッドホン"。

音がドライな環境ではパサパサした中域が非常に聴きづらい。

音が粗い環境であればハイがジャリジャリ粗くてハチャメチャにキツイ。

音が薄いと厚みが不足、音像がコンパクトなので補ってあげるようにアンプやケーブル類で調整しないと妙にスカスカ空間に穴を感じる鳴り方に聴こえます。

僕は購入当初「こりゃ、やっちまったか?」と頭を抱えたものの、それを機に環境の見直しが出来て良かったなと思っています。

Edition10の鳴り方の変化を確かめながらケーブルやアンプを付け替えて、それぞれがどうゆう組み合わせで鳴るのか?等、非常に考えさせられるオーディオ的にはとても面白い機種じゃないでしょうか。

ただポンっと刺して良い音で鳴るということは余程環境が整っている人以外無理なんじゃないかな^^;

「アンプ持ってません。初めて高級ヘッドホン買います!」と言う人には間違っても勧められません。

 

最近AudiodesignのDCHP-100を購入し、オーディオ環境が変化。

PC+WF250+DCHP-100の環境でも良い音色でEdition10が鳴ってくれるので以下のレビューはその環境で書いています。

2020年版の配電図、ケーブル類の詳細図を作りました。

細かく見たい方は画像クリックでどうぞ。

 

音は非常に独特かつ派手で明るい金属的な音。

ザラザラした鮮やかな高音、S-Logicの利いたキレと弾力のある低音にグッと強く前方定位する独特の音場感と正にTHE・ULTRASONE・SOUND。

帯域バランスは高音より弱ドンシャリ、量よりも質で非常に高音が目立つテンションの高い音ですね。

音の厚みはあるもののEdition9のような濃厚さは無く、どちらかと言えばスッキリ。

価格が価格だけあって性能は高く、解像度に優れ、レンジも上下とも広い。

情報量よりも分離感が強い音で輪郭がクッキリ、ハッキリと明瞭。

音数が多く弱音もハッキリ目に聴こえるものの一定以下の空気感やホールトーン等は削ぎ落したように聴こえず、独特のメリハリやスピード感の良さがあります。

中域はやや近めで透明感と艶があり女性ボーカルと相性が良い。

どんな曲も明るくしてしまい曲本来の印象とは異なるものの、Edition10自体の音色の統一感、基本性能の高さで強引に纏めてしまうため聴いてみると意外に不満無く鳴らしてしまう。

また低音もタイトで締まりと弾力があり、EDMやケルト等もにも合う迫力のある低音が出ている。

音場は人工的だが立体的かつ広い、打ち込み系のソースでは不自然さを感じづらく相性が良い。

ULTRASONEらしく縦に奥行きを感じる音場感、横に広さを感じるシステムで鳴らしてあげると印象が良くなりますね。

またS-Logicが強く聴いているためかキツい出音の割りに聴き疲れが少なく、付け心地の良さと相まって長時間リスニングも快適。

ただやっぱり粗さは多少残るのでキツイ音はかなりキツイですね。

粗が非常に見えやすく目立つ音なので録音の悪い曲には不向き。

アコースティック系のソースではほぼ問題ありませんが、一部のハイハットの音や女性ボーカルの"チ"や"ツ"等、たまに強烈に耳に障りなソースがあります。

僕はGARNiDELiAの曲が好きですがボーカルの声質なのか?歌い方なのか?極めて刺さりが出やすく試聴の際は粗さの確認に聴いています。

GARNiDELiAの響喜乱舞をEdition10で聴くと「"そ"っと"し"ずみゆく」と最初の部分からキツくて聴いてて身構えてしまうので落ち着いてリスニングするには全く向きません(落ち着いて聴くような曲じゃないけどw)。

合うアンプはDCHP-100のように低音寄りで音が滑らか、音像が大きめの物か、HPA-VT25のように音場が横に広く粗を感じさせない鳴り方の物(HPA-VT25ならGARNiDELiAのサ行も気にならない)。

AT-HA5000もケーブル類で調整してやると非常に聴きやすい音になります。

特に環境による出音の変化、振れ幅がEdition10最大の特徴と言っても良いくらいで合わない環境だとトコトン微妙な音なのが初視聴時の衝撃として心象深くに残っていますね。

 

総評はワガママで派手な音のヘッドホン、歌の上手いジャイアン。

俺の歌い方はこうだ!と言わんばかりの独特な鳴り方ですが性能の高さで無理やり納得させてしまう。

Edition10を通すと何でもシャキシャキ金属質な質感になるものの、この曲はこんな風にも聴ける曲だったのwと不思議な説得力、独特な楽しさを感じるヘッドホンですね。

 

 

こんな曲が合うかな。

広い音場や粒立ちの良さからくるピンと糸が張ったような緊張感が良い方に作用する曲、明るくて音数が多いハイスピードな曲とか色んなジャンルの曲を楽しく聴ける良いヘッドホンですね。